だって、キミが好きだから。
プロローグ


「……ん」



目が覚めたら真っ先に目に入ったのは、真っ白な天井だった。



ピコンピコンとどこかから聞こえる不思議な電子音に、思わずキョロキョロして辺りを見回す。



「こ、ここは……」



どこ?


キョロキョロといっても首がわずかに動くくらいで、視界の端に心電図モニターと点滴棒が目に入った。


どうやらここは個室みたいで機械の音が聞こえるだけ。



ここは……病院?


知らない場所だ。


知らない場所に来てしまった。



知らない場所……?


ううん。


そもそもあたしは誰……?


なんでここにいるの?


何も……何も思い出せない。


やだ、なんで?


名前も……生年月日も何もかも。


今日は何年の何月何日?



わからない。


わからないよ……。


足元からじわじわと恐怖が込み上げて来る。


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