だって、キミが好きだから。
思い出があればあるほど、どんどん深い闇に呑み込まれる。
琉衣の優しさは嬉しいけど、心から笑えることはなくなってしまった。
「どうした?何かあったのか?」
オレンジ色の髪の毛がふわっと揺れたかと思うと、琉衣の整った顔がグッと近付いた。
心を見透かされそうなまっすぐな瞳に、思わずパッと目をそらす。
心臓の音がうるさい。
静まれ、鼓動。
「な、何もないよ?ほら、早くいこっ!」
明るく笑って琉衣の腕を掴む。
頬が引きつっているような気がしたけど、それでもムリに笑い続けた。
笑え。
ツラくても、苦しくても。
琉衣は何か言いたそうにそんなあたしを見ていたけど、その視線に気付かないフリをした。