だって、キミが好きだから。
2月も半ばに差し掛かり、テレビのお姉さんが天気予報でこの1週間の寒さが特に厳しくなると告げている。
『今日は2月12日。バレンタインまであと2日を切りましたねー。今年のバレンタインは日曜日です。意中の彼をデートに誘って、そこでチョコを渡してみてはどうでしょうか?』
バレンタインか。
今まで特に気にしたこともなかったイベント。
だけど、今年は少し気になるイベント。
そっか。
今年は日曜日なんだ。
でも、琉衣は甘いものが苦手だって朔真君が言ってたし。
期待させるようなことは出来ないから、あげるつもりなんて最初からない。
そう……あげるつもりなんてないんだ。
「菜花?遅れるわよ?」
ぼんやりテレビを見ていたあたしに、お母さんがキッチンから声をかけて来る。
お父さんはすでに仕事に行ってしまった後だったけど、それでもお母さんの朝はやっぱり忙しいらしくバタバタとせわしない。