だって、キミが好きだから。
う、うそ。
これは……夢?
うん、きっとそうだよ。
夢に決まってる。
そう考えた方がしっくり来るもん。
矢沢君があたしを好きだなんて、天と地がひっくり返ってもありえないんだから。
「だからさ」
目の前に迫る矢沢君と目が合った。
矢沢君は気まずそうに視線をそらして、一瞬だけ目を離したかと思うとすぐにまたあたしを見つめる。
熱がこもったその瞳に、ドキドキは加速する一方。
ダメだ、まともに目を合わせていられない。
心臓が押し潰されそう。
「付き合ってくんない?」
ーードキン
「えっ……?」
ねぇ。
これは夢だよね?
冗談だよね……?
ビューッと吹く風が頬に当たって痛い。
肌に感じる寒さも、胸のドキドキも全部。
全部ホンモノだ。