だって、キミが好きだから。


家を出てバス停を抜けると、桜並木が奥の方までズラッと並んでいる道に出た。


お昼を過ぎたこの時間は、冬の陽だまりがポカポカしてて寒さを少しだけ和らげてくれる。


道沿いを少し歩くと河川敷があって、坂の途中の芝生の上に腰を下ろしてポケットからスマホを取り出した。


寒くて手がかじかみそうになる中、操作して琉衣にメールを打つ。



ううっ。


うまく文字が打てない。


寒いよ。



『河川敷の芝生にいます』



そう送ってから10分ーー。



「菜花!」



背後から息を切らした琉衣が走って来るのが見えた。



オレンジ色の髪を大きく揺らしながら、急いで来たのか呼吸が荒い。



ドキドキと脈打つ確かな鼓動を感じながら、あたしはそっと立ち上がった。


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