だって、キミが好きだから。


ドキドキが止まらなくなって、目を合わせていられなかった。


だけど、そらしちゃいけない。


逃げないって決めたから。



「あたし……琉衣のことが好きだよ」



無意識に思わず琉衣の方に手を伸ばす。


ダウンの裾を掴んで、ギューッと握った。



「前に言っただろ?言っていい冗談と悪い冗談が……っ」



しどろもどろになりながら、視線を泳がせる琉衣。



「冗談なんかじゃないよ。本気……だから。あたしは、琉衣が好きなんだよ」



心臓の音がすごくうるさい。


顔だって、きっと真っ赤だ。



「あたしのことを好きだって言ってくれた時は、すごく嬉しかった。気持ちに応えたいって思ったけど……っ出来なくてごめんね」



琉衣の瞳が戸惑うように揺れている。


女の子の扱いに慣れているはずの琉衣が見せた新鮮な顔。


動揺……?


ううん、ビックリ?


そんな顔をしてる。



< 152 / 343 >

この作品をシェア

pagetop