だって、キミが好きだから。


「俺も……お前が好きだ」



蚊の鳴くような声で琉衣が静かにつぶやいた。


胸の奥に言いようのない気持ちが込み上げて、温かいものが溢れて来る。



照れくさそうにプイと顔をそらした琉衣の頬は真っ赤で。


思わずクスッと笑いが込み上げる。


ようやく想いを伝えることが出来たよ。



「あたしも……好き。でも、琉衣とは付き合えない」



受け入れて欲しいって思ったけど、やっぱりまだ怖くて。


拒絶された時のことを考えて、自分を守るためにそう言ってしまった。


病気のことを打ち明けるのは、ホントは不安でたまらない。


もし……もし引かれちゃったら。


あたしはもう生きていけなくなる。


だから自分の身を守った。



「は?なんでだよ?」



琉衣の顔がゆっくりとこっちに向く。


さっきまで赤かったのに、もう冷静さを取り戻していた。


前髪の隙間から覗くキリッとした目が、あたしを鋭く捉えて離さない。



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