だって、キミが好きだから。
これは……夢なんかじゃない。
「な、なんで……?話したこととか、ないよね……?」
それなのに……どうして?
あたしを好きだなんて信じられないよ。
冗談……なんだよね?
あ、何かのバツゲームとか?
それと同時に頭をよぎったのは、特定の彼女を作らない遊び人っていうウワサのこと。
もしかして、あたしのこともそんな風に見てる?
軽く見られちゃってる?
遊び……なのかな?
そう思うと胸がズキンと痛んだ。
「あー、まぁな。一目惚れってやつ?」
「……っ」
一目惚れ……。
あたしに?
学校一イケメンの矢沢君が?
ウソだと思いたい。
特別目立つわけでもなく、可愛くもないあたしなのに。
「まー、直感って言った方が合ってるかもな。考えてみてくんねー?」
「…………」
ど、どうしよう。
戸惑う気持ちの方が大きくて何も考えられない。
だけどドキドキは止まらなかった。
正直、好きかと聞かれるとわからないけど。
だけどっ。
あたしは……あたしはっ。
「ごめんなさい」
目を伏せて、震える口でそう言った。