だって、キミが好きだから。


泣き続ける菜花の背中を優しく叩く。


『脳腫瘍』


そんな言葉が一瞬頭をよぎったけど、考えないようにブンブンと頭を振った。


余計なことは考えるな。


菜花は絶対に大丈夫だ。



俺は無知だからなんも知んねーけど、気持ちがあれば乗り越えられねーことはないと思ってる。


大丈夫だ。


けど、ちょっとは調べるかな。


怖いけど、菜花の抱えてるもんを知りたい。



しばらくすると菜花は泣き止み、えへへっと可愛く笑って見せた。


鼻の頭が真っ赤で目も充血している。



女の涙なんて面倒でしかなかった俺が、菜花の泣き顔に見惚れるなんて。


惚れたもん負けだって誰かが言ってた言葉があるけど、まさしくその通りだ。


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