だって、キミが好きだから。


俺、こいつに勝てる気がしねー。


いや、勝ち負けじゃないけどさ。


なんか、何でも許せちまうような気がする。



くそ寒い芝生の上に並んで座り、膝の上にちょこんと乗った菜花の手を握った。


相変わらずほっそいなー。


折れそう。



「琉衣の彼女として……最初に何をすればいい?」



「はぁ?」



何言ってんだ、こいつは。


真顔で聞いて来てるから、本気で言ってるってことか?



「そうだな。じゃあ……本命チョコくれよ」



「え……?本命チョコ?」



目を丸める菜花の額に軽くデコピンを食らわす。



「結局、義理チョコすらもらえなかったし?」



「うっ。だ、だって!琉衣がチロルチョコ返して来るから……っ」



額を押さえながらあたふたし始める姿を見て、なぜかもっとイジメたくなってしまう。



「チロルチョコなんかで済ませようとするんじゃねーよ!」



「ご、ごめん。わかった、ちゃんと持って来るから」



「お、マジで?」



「うん……っ。でも、本当は甘い物嫌いなんでしょ?」



「食べれねーことはない」



つーか、菜花がくれたもんなら何でも食べれる。


いや、もったいなくて食べれねーかもな。


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