だって、キミが好きだから。
誰だっけ……?
つい最近会ったような。
もうずいぶん前から知ってる人のような気がするのに。
誰だったっけ?
水族館……。
水族館……。
この言葉も、どこかで誰かと話さなかったっけ?
少し前のことだったと思うんだけど。
あれ?
何でだろう。
どうしても思い出せない。
水族館っていう断片的な言葉は覚えているのに、そこで何があったのかわからない。
「あれー、ともきじゃん」
その時廊下の窓から顔を覗かせた朔真君が、萌奈の手元を覗き込んでニッコリ笑った。
いきなり現れた朔真君に、あたしも萌奈も驚きを隠せない。
「ちょっと!勝手に見ないでよねー、プライバシーの侵害だし」
「ははっ。いいじゃん、固いこと言うなって〜!俺らの仲だしー?」
「朔真君と仲良くなったつもりはありませーん」
「うわっ、冷てー」
2人のやり取りをぼんやりしながら聞く。