だって、キミが好きだから。
ここに存在している理由も、空っぽの頭では何もわからない。
わかんない。
……怖いよ。
思わず起き上がろうとしたけど、体がガチガチで力が入らない。
な、なに……?
なんで?
なんなの?
何で動かないの?
ボーッとして、意識がふわふわする。
現実だけど、現実じゃないような。
長い間眠っていたような……そんな感覚。
なに?
これは……夢?
その時……右手にふと違和感を覚えた。
温かい誰かの手が、キツくキツくあたしの手を握っている。
かろうじて動いた顔を右に向けると、ベッドにうつ伏せで寝ている誰かの姿があった。
だ、誰……?
なに?
不審者……?
やだ、怖いよ。
スースーと規則正しく聞こえる寝息と、それに伴ってふわふわ揺れるハデなオレンジ色の髪の毛。
……ううん。
綺麗な黒の髪の毛だ。
なんでオレンジ色なんかに見えたんだろう。
目までおかしくなっちゃった?