だって、キミが好きだから。
「2年って修学旅行もあるし!来年は受験だからなかなか遊べなくなるし、いっぱい思い出作ろうねー!」
思い出……か。
あたしはもう、思い出なんかいらないなんて言わない。
みんなと同じようにたくさんの思い出を作って、高校生活を満喫したい。
「うん!いっぱい思い出作ろうね」
前を向いて歩いて行くって決めたんだ。
たくさん思い出を作って、ちゃんと日記に書いて行こう。
教室には1年の時とは違う顔ぶれが揃っていて、改めて新学期になったことを実感した。
2年の教室は2階にあって、窓からは中庭に1本だけある桜の木が見渡せた。
ピンク色の花びらがひらひら舞ってすごく綺麗。
寒い冬を耐え抜いて、やっと花を咲かせることが出来たんだね。
よく頑張ったね……。
キミが頑張ってたことを、あたしはちゃんと知ってるよ。
手すりに顎を乗せて桜に見惚れていると、隣にふと気配を感じた。