だって、キミが好きだから。


それ以降なぜか黙ってしまった琉衣と、中庭の桜を眺め続けた。


その横顔が少し寂しそうなのは、あたしの気のせいかな。


気のせいであることを心の中で願った。



「よー、おふたりさん。朝から熱いなー、おい」



振り返るとそこには、ニヤニヤ笑うハデな金髪頭が自慢の朔真君がいた。



「羨ましいだろ?そろそろお前も、本気になれる相手を見つけろよ」



「うっわ、琉衣斗に言われたくねー。昔は散々だったくせに」



琉衣の昔の話は聞きたくない。


だけど気になる。


昔の琉衣って、どんなんだったのかな。


好きになった人はいた?


元カノとか……どんな人なんだろう。


どんな恋愛をして来たのかな。


気になるけど、知りたくない。



「テメー、菜花の前で変なこと言うなよ。昔の俺とはもう違うんだから」



琉衣が朔真君にムキになって怒る。


怒ると余計怪しく思えて、何かあるんじゃないかって思ってしまう。


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