だって、キミが好きだから。


次の日。


約束の時間に菜花の家まで迎えに行った。



「あら、琉衣斗君。いらっしゃい」



菜花と同じく、小柄なおばさんがニッコリ笑って出迎えてくれる。


おばさんは本当に菜花にソックリで、大人なのに小さくて可愛らしい。


うちのお袋とは大違いだ。



「る、琉衣!おはよう」



リビングのドアが開いて、菜花がパタパタ走って来た。


準備が間に合わなかったのか、かなり慌てながら淡い栗色の髪を手ぐしで整えて見た目を気にしている。


そんな仕草までもが可愛いと思えて、無性に抱き締めたくなった。



「あれ?髪が真っ黒になってるー!染めた?」



大きな目をまん丸く見開いて、菜花は俺の髪に手を伸ばしてそっと触れる。


近付いて来た菜花からシャンプーの良い匂いがして、胸がドキッと高鳴った。


マジで……中学生か!


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