だって、キミが好きだから。


失いたくないと思える奴に初めて出会った。


菜花だけは、どんなことがあっても絶対に手離したくない。


ずっと俺のそばにいて欲しい。


絶対幸せにするから。



そんな想いを込めて手をギュッとすると、菜花も小さくギュッと握り返して来た。


何気ないささいなことに幸せを感じる。


たったそれだけのことで、こいつを一生守って行きたいと思えた。



俺……相当重症だな。


菜花がいねーと、マジでダメだ。


かなりハマってる。



「うわっ、でっかいお家だね」



家の前に着くと、菜花が目を見開いてたじろいだ。


雰囲気に圧倒されて、さっきよりも固くなっていることがわかる。



「大したことねーだろ。普通だよ、普通」



「えー!そんなことないでしょ!琉衣って、実はお坊っちゃまだったんだね」



「はぁ?お坊っちゃまってガラじゃねーだろ、バカ」



「ムッ。バカって言わないでよー」



プクッと頬を膨らませてスネる姿が、子どもみたいでマジ可愛い。


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