だって、キミが好きだから。
姉貴の歴代の彼氏にも、ここまでニコニコ話しかけてるのは見たことがない。
「菜花ちゃんみたいな良い子、琉衣斗にはもったいないわね。昨日、速攻で黒髪にした理由がよくわかったわ。そりゃ手離したくもなくなるわよね〜!」
お袋がからかうように俺を見る。
ニヤリと笑って何か言いたげだ。
ちっ。
なんなんだよ。
うぜーな。
「菜花、行くぞ」
「え?あ……うん。あのっ、お邪魔します」
戸惑う菜花の腕を引いて2階に上がった。
「あとでお茶持ってくわね〜!」
お袋の声をムシして部屋まで一目散に上る。
今日の朝、久しぶりに部屋の掃除をしたから準備はバッチリだ。
「わ、琉衣の部屋だー!黒が好きなんだね〜!」
興味深くキョロキョロする菜花の頭を軽く小突く。
「汚ねえからあんま見んなって」
つーか、普通に照れるし。