だって、キミが好きだから。
それをごまかすように、俺は必死に菜花にキスをした。
そのあとはもう止まらなくて、激しく菜花の唇を求める。
「んっ……る、琉衣……っ」
耳元に聞こえる吐息が
小さく小刻みに震える菜花の体が
俺の名前を呼ぶ一段と甘い声が、マジで俺だけのものになればいい。
なぁ……忘れんなよ。
俺とこうしてる時のこと。
忘れて欲しくねーんだよ。
頼むから……っ。
自分の体が震えていることに今さら気付いた。
菜花を失うのが怖い。
この手だけは絶対に離したくねー。
だからさ、もっともっと俺でいっぱいになればいい。
甘い声で俺の名前を呼んで頭に刻み込めよ。
忘れらんねーぐらい何回でもキスしてやるから。
なぁ……。
頼むから、マジで忘れんなよ。
言えない言葉の代わりに、俺は菜花の唇に何度も何度もキスをした。
記憶の片隅に、俺のことが少しでも残るようにと願いを込めて。