だって、キミが好きだから。
6月も中頃に入って、日射しがどんどん熱くなって来た。
衣替えも始まって、ブレザーだった制服が夏服に変わって身軽になる。
夏服も夏服で可愛いから、あたしは結構気に入ってるんだ。
「本当に大丈夫?」
玄関で大きなバッグを抱えるあたしに、お母さんが心配そうな表情を崩さない。
「大丈夫だよっ!楽しみにしてたんだし」
「何かあったら、先生にちゃんと連絡するのよ?先生のケータイ番号、しおりの一番最後のページに書いたからね」
「菜花、気を付けて行って来るんだぞ」
お父さんまでもが、眉を下げて泣きそうな顔をしている。
「もー、2人とも心配しすぎ!あたしは大丈夫だから」
ニッコリ笑って見せたけど、それでもお父さんとお母さんは笑ってくれなかった。