だって、キミが好きだから。
ーーピンポーン
「あれ?誰だろう」
こんなに朝早くから、誰か来るなんて珍しい。
「琉衣斗君でしょ。昨日、迎えに来てくれるって菜花が言ってたじゃない」
「え?あたしが……?」
そんな覚えはないけど、お母さんが言うんだからそうなのかな。
玄関のドアを開けると、同じく大きなバッグを抱えた琉衣が立っていた。
「おはようございます」
琉衣はお父さんとお母さんにペコッと頭を下げると、あたしが持っていた大きなバッグを掴んで肩にかける。
「琉衣斗君、菜花をお願いね」
「はい、任せて下さい。行くぞ」
「う、うん!じゃあ行って来ます」
颯爽と踵を返した琉衣のあとを追って歩く。
もう見慣れてしまった黒髪が風になびいて揺れている。
隣に並ぶと、琉衣は口元をフッと緩めて微笑んだ。