だって、キミが好きだから。
お助けマン
矢沢君に告白された週の土曜日。
あれから何となく矢沢君のことばっかり考えている。
考えたって返事は変わらないんだけど、頭から離れない。
学校では無意識に姿を探したり、教室の前を通るだけでドキドキしすぎておかしくなりそうだった。
「お母さん、行って来まーす!」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「はーい!」
お昼の3時を少し過ぎた頃、あたしはコートを着てマフラーを巻き、耳当てと手袋をして家を出た。
「はー、さむっ」
昼間だというのに、吐く息が白い。
凍えるような寒さだ。
中庭の桜は、今日も必死に寒さに耐えているのかな。
だとしたら、キミは強いね。
あたしは……そこまで強くなれないよ。
ダメダメ。
弱気になってちゃ。
精いっぱい悔いのないように生きる。
毎日笑って過ごす。
そう決めたでしょ?
だから、あたしには落ち込んでるヒマなんてないの。