だって、キミが好きだから。
隠された想い
7月初旬。
梅雨に入って、この頃うっとおしい天気が続いている。
「なんか雨が降って来そうだね」
放課後の帰り道、分厚い雲が空を覆って今にも雨が降り出しそうな雰囲気。
隣にいる琉衣を見上げると「そうだな」と小さく声を漏らした。
「早く梅雨が明けないかなー」
「そうだな」
「うん」
なんだか最近の琉衣は前にも増してさらに変だ。
特に今日は授業中もずっとぼんやりしてて、心ここにあらずって感じだった。
「今日はバイトだったっけ?」
「いや、今日は何もねーよ。カラオケ行きたいって言ったのは菜花だろ」
「あ、そ、そっか。ごめんね……」
「ん、いいよ」
琉衣はよく笑ってくれるけど。
その笑顔はどれもとても切なげで、はっきり言って見ていられない。
その度に胸が締め付けられて苦しくなる。
お願いだから……前みたいに無邪気に笑ってよ。
どうしたら笑ってくれる……?
「やっぱりカラオケはやめよう」
「え?なんでだよ?」
「えっと……あのね。琉衣の家に行きたい」
「……俺んち?」
「うん。ダメ?」
「いや……別にいいけど」