だって、キミが好きだから。
琉衣が家の鍵を開けて、あたしの腕を引いて中に入る。
「タオル持って来るから待ってろ」
「うん」
髪や制服はびしょ濡れで、絞ればたくさん水が出て来そう。
土砂降りというよりも、ゲリラ豪雨に近いほどの大雨だった。
なんだか肌寒い気もするし、下着までビショビショだからすぐにでも着替えたい。
「ほら」
脱衣所からタオルを手に戻って来た琉衣が、あたしの頭にふんわりバスタオルをかけてくれた。
そして、ガシガシと髪の毛を拭いてくれる。
荒々しい手付きだけど、琉衣の手の温もりが伝わって来て優しい気持ちになる。
「ビショビショだな。着替えもかしてやるよ」
「あ、ありがと。今日はお家の人はいないの?」
「今日は両親揃って出掛けてるから、夜遅くまで帰って来ねーよ。姉貴も夜勤だからいねーし」
「そっか」
2人っきりってことか。
なんだか緊張するな。
その時、ポタッと顔に水滴が落ちた。
見上げると、琉衣の髪の毛はまだ濡れていて。
水滴はどうやら、そこから落ちたみたいだった。