だって、キミが好きだから。
そこからはもう、記憶がすごく曖昧で。
琉衣にお姫様抱っこをされて部屋まで運ばれて、優しく壊れ物を扱うかのように丁寧に時間をかけて愛してくれた。
『緊張してる?』って聞かれて『初めてだから少しだけ』って強張りながら答えたことしか覚えてない。
幸せだったけど、なぜか涙が止まらなくて。
何度も何度も琉衣がそれを拭ってくれた。
途中、汗なのか涙なのか髪の毛から滴る雨粒なのかわからない雫が上からポタポタ落ちて来て。
切なく顔を歪める琉衣を見ていたら、余計に涙が止まらなかった。
あれが何だったのかは、今でもはっきりとはわからない。
ただあたしには……琉衣が泣いてるように思えて胸が苦しくて仕方なかった。
そんな顔をさせたいわけじゃないのに、そんな顔しかさせられない自分が嫌でたまらなかった。