だって、キミが好きだから。


わけがわからなくて息が止まりそうになる。


ドクドクと激しく心臓が脈を打っていた。


なに……?


あたし……知らない。


指輪だって、今は手に付けてないもん。


これは……本当に起こったことなの?


今日が初めてだと思っていたけど……前に琉衣に抱かれたんだ?



あたし……あたし。


今日琉衣になんて言った?


緊張してる?って聞かれて……なんて言った?


『初めてだから少しだけ』って。


そう言ったよね……?


ブワッと涙が溢れた。



「うっ……ひっく」



最低だ。


最低だ……っ。


忘れちゃったなんて。


なんてひどいことを言っちゃったんだろう。


今でも琉衣の切なげな顔が目に焼き付いている。


途中で降って来た雫は琉衣の涙だったのかな……?


そう考えると涙が止まらなくて、いつまでも胸が痛かった。


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