だって、キミが好きだから。


涙で視界がボヤける。


お願いだから、誰かうそだと言って。



─────────────────


琉衣は『絶対に別れない』と言って聞き入れてくれなかったけど、あたしも諦めなかった。


別れてくれるまで、あたしは引き下がるつもりもない。


でもね……だけど。


絶対に嫌だって、死んでもそれは譲れないって琉衣に泣かれちゃった。


目を真っ赤にして苦しそうに泣く琉衣を見ていたら、あたしまで涙が止まらなくなって。


どうすればいいのかわからなかった。


あたしだってホントは別れたくない。


でも、本音は言えなかった。


結局話し合いにならなくて、また後日話そうってことになったんだ。


どうすればいい……?


何が正しいのかなんて、あたしにはわからないよ。



─────────────────



暗い闇に心が沈んで行くような気がした。


あたしは……最低なことを琉衣にしてしまったんだ。


昨日、自分から別れ話を切り出しておいて、今日は無邪気に琉衣に笑いかけた……。


家に行ってあたしからキスをして……。


そんなあたしを琉衣は……優しく抱いてくれた。


< 281 / 343 >

この作品をシェア

pagetop