だって、キミが好きだから。


日常生活に支障を来すって……なに、それ。


死ぬかもしれなくて、助かっても大きなリスクがあるなんて。



「先生が言ってたの。もしかすると、認知症の人みたいな症状が出るかもしれないって。夜中に徘徊したり、ひとりでトイレに行けなかったり……っ。日常生活に関する記憶の部分にダメージを負っちゃったら、人の手を借りないと生活出来ないかもしれないって」



に、認知症……っ?


なにそれっ。


あたし、まだ16歳だよ?


それなのにっ。


認知症だったおばあちゃんを思い出して恐怖を覚えた。


おばあちゃんはトボけたことばかり言って人が変わったように突然怒り出したり、夜中に裸足で外を徘徊してニコニコしてたりしたっけ。


そのせいで車にひかれそうになったこともある。



あたし……おばあちゃんみたいになっちゃうの?



「それなら……死んだ方がまだマシだよっ!」



ガマン出来なくなってテーブルをバンッと叩いた。


お父さんもお母さんも、そんなあたしを見て涙を浮かべている。


なんであたしがそんな目に遭わなきゃなんないの?


ねぇ、どうして?


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