だって、キミが好きだから。
最後の涙
騒がしい繁華街まで走って来ると、疲れ切って動きが鈍くなって来た足の動きが徐々に止まって行った。
金曜の夜だからなのか、遅い時間だというのに制服を着た人の姿が多い。
あたしは当てもなくうつむきながら、ひとりでぼんやりとその中を歩いた。
こうやって人混みに紛れていると、なぜだかどんどん気持ちが落ち着いて来る。
「なのちゃん?」
前から歩いて来た人と肩がぶつかりそうになって避けた瞬間、そこにいた人に声をかけられた。
聞き覚えのある声に顔を上げると、よく知ってるハデな金髪をした人の姿が見えた。
「さ、朔真君……」
朔真君はどうやらひとりらしく、あたしを見て目を見開いている。