だって、キミが好きだから。
慣れたように我が物顔で繁華街の中を歩く朔真君を、たくさんの女の子たちが振り返って見ている。
そんな女の子たちに、朔真君は笑顔で手を振っていた。
本当、調子がいいんだからっ。
突き刺さるほどの視線を感じて、あたしはうつむきながら歩いた。
「おし、着いたぞ」
「え?ここって……」
ラーメン屋さん?
「腹減ったから、付き合ってよ」
「え、いや、あたし。サイフ持って来てないから……」
「ぷっ、俺が誘ってんだから奢りに決まってんだろ」
朔真君はおかしそうにクスクス笑った。
「いや、でも。悪いし」
「いいからっ。俺に奢られんのが嫌なら、彼氏に甘えればいいし」
「え……?」
彼氏?
って、琉衣のこと?
今ここにいないのに、どうして琉衣が出て来るの?