だって、キミが好きだから。
「どうしたんだよ、ボーッとして」
「えっ……!?」
昼休み、あたしたちは2人で中庭の桜の木のそばにあるベンチで過ごしていた。
隣に座っている琉衣が、お弁当を食べる手を止めているあたしを見て首を傾げている。
7月のちょうど半ば。
辺りには蝉の鳴き声が響き渡っていた。
「ボーッとしてんなよ」
頭をポンと小突かれ、眉を下げた悲しそうな笑顔で琉衣はあたしの顔を覗き込む。
もう何度見たかわからない琉衣のこんな顔。
見るたびに悲しくなって泣きたくなる。
胸が締め付けられて苦しい。
「……ごめんね」
そんな顔をさせてしまっていること。
心から笑って欲しいのに、あたしといるせいで琉衣は笑えなくなってしまった。