だって、キミが好きだから。
優しいその笑顔に、余計に胸が締め付けられて苦しい。
琉衣のまっすぐな想いに心が震える。
「他の男に持ってかれねーように、予約しとくから」
琉衣は繋がったその手を持ち上げて、あたしの左手の薬指にキスをした。
喉の奥が焼けるように熱くなって、涙がブワッと溢れた。
なんで……。
あたしは琉衣にそこまでしてもらう資格のない女だよ?
それなのに……どうして?
「だから……別れるなんて言うなよ」
固まっていると、耳元で苦しげな声が聞こえた。
それはまっすぐに胸に突き刺さって、あたしの心を揺さぶる。
涙が頬を伝った瞬間、あたしの後頭部に手を添えた琉衣の顔が近付いて来た。
「んっ」
重なる唇と唇。
琉衣の唇の感触が懐かしい。
好きって気持ちが溢れて来る。
あたしの涙は、琉衣のキスによって溶けて消えた。