だって、キミが好きだから。
「別れ話された」
「はぁ?いつ?」
「ちょっと前。けど、別れてねー。つーか、菜花はそのこと忘れてるから」
「は……マジかよ、忘れてるって」
「ああ、マジだ。次の日、すっげえ普通だったし」
そうとしか考えらんねーだろ?
覚えてたら、俺んちに行きたいなんて言わねーし。
自分からキスなんてしてくるはずもねー。
「別れ話か。ラーメン屋でなのちゃんは、なんで俺にあんなこと……」
朔真はひとりでブツブツ言い出し、急に考え込むようなそぶりを見せた。
何を考えているのかは、俺にもさっぱりわからない。
「お前さ、正直に答えろよ?なのちゃんの前で泣いたことあるか?」
「はぁ……っ?な、なんでお前がんなこと」
知ってんだよ……?
「それって……別れ話された時か?」
「はぁ……?なんでんなこと聞くんだよ」
「いいから答えろよ!」
朔真は真剣に俺の目を見る。
すごい剣幕に一瞬ひるんで、ゴクリと唾を飲み込んだ。
こいつのこんな顔を見るのは初めてかもしれない。