だって、キミが好きだから。
カンカン照りの中、汗だくになりながら走って菜花の家に向かった。
汗が目にしみて痛くても、足がもつれてこけそうになっても、全速力で駆け抜けた。
「はぁはぁ」
やべっ。
あっつ。
マジで体力が持たねー。
エネルギーをどんどん吸い取られていってる感じがする。
けど、泣き言は言わねー。
菜花のために必死だった。
「はぁはぁ……やっと……っ着いた」
呼吸が乱れて心臓がバクバクする。
こんなに思いっきり走ったのは、小学校の運動会以来だ。
菜花に会いたい。
会って何を言うかなんて考えてねーけど、とにかく会いたい。
俺は呼吸を整えると、白くて綺麗な家のインターホンに手をかけた。
ーーピンポーン
『はーい、どちら様?』
しばらくすると、インターホンのところからおばさんの声がした。
「な、菜花は……っいますか?」
『もしかして、琉衣斗君……?』
「は、はい……っはぁ」