だって、キミが好きだから。
『菜花はね……今家にいないのよ』
「え……っ?い、いないんすか?」
『そうなの。だから、ごめんね』
「どこ行ったんですか?」
『それは……言えないの。菜花の頼みだから、ごめんね』
明らかにトーンが下がったおばさんの声は、俺の胸に衝撃を与えた。
「言えないって……なんでっすか?菜花に何かあったんすか?」
いくら菜花の頼みでも、引き下がれるわけねーよ。
だから、必死にインターホンに食い付いた。
「お願いします!教えて下さい!菜花は今どこにいるんすか!?」
『…………』
しばらくすると、黙り込んでしまったおばさんのすすり泣く声が聞こえて来た。
「おばさん……っ!お願いします!」
『……ごめんねっ。今まで菜花をありがとう。琉衣斗君には、本当に感謝しているわ』
「だったら居場所を教えて下さい……っ!」
いくら必死にそう言っても、おばさんは頑なに教えてくれなかった。