だって、キミが好きだから。


次の日もその次の日も、俺は菜花の家に通った。


インターホンで出迎えてくれるのは決まっておばさんで、その度に俺に『ごめんね』と繰り返す。



菜花の居場所は、やはり言えないということだった。



けど、俺は諦めねー。


おばさんが折れてくれるまで毎日通ってやる。


幸いシカトはされてねーから、毎日通えばいい加減諦めて教えてくれるはずだ。



そして、その次の日。


夕方までバイトだった俺は、バイトの帰りに菜花の家に寄った。


陽が沈みかけているけど、暑さはちっとも和らいでいない。


蒸し暑くて、Tシャツがベッタリ肌に張り付く。


Tシャツと肌の間にパタパタと空気を入れてあおぎながら、足早に菜花の家に向かった。


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