だって、キミが好きだから。
不安と緊張で心臓がバクバクしてる。
手術が終わって目が覚めたら、あたしがあたしじゃなくなっていそうな気がしてすごく怖い。
お父さんとお母さんは涙目になりながら手術室の前まで見送ってくれた。
「北上さん、今から麻酔をかけますからね。だんだん意識がフワフワして眠りに落ちるような感覚になりますよ」
麻酔科の先生が耳元で優しく声をかけてくれる。
寝ちゃダメ。
寝ちゃダメだ。
次に目が覚めたらあたしは……あたしは。
きっと……今までのあたしじゃなくなってる。
だけどだんだん閉じて行くまぶたに抗えない。
眠りたくないのに、意識がフワフワして遠のいて行く感じがする。