だって、キミが好きだから。


菜花に会いたい。


俺の気持ちは、7年前からひとつも変わってない。


誰よりも俺は菜花が好きだ。


どこにいるかはわからないけど、もしかしたらもう北海道にはいないかもしんねーけど。


それでもわずかな希望が捨てきれなくて、俺は北海道に行くことを決めた。



研修医を受け入れてくれる病院を探すのは大変だったし、大学のダチや先生にも都会の病院を勧められたけど。



俺は聞き入れなかった。


だって、医者になったのだって菜花のためなんだから。



研修医としての生活は想像していたよりもはるかに大変だった。


基本的に患者をひとりで診るってことはなかったけど、指導医の先生が最悪だと雑用ばかりを押し付けられる。


俺はどうにか指導医に恵まれたけど、同期の奴はグチグチ文句ばかり言っていた。


医療行為はほとんどさせてもらえず、ひとりの患者の症例をただひたすら勉強する毎日。


休みも少ないし給料も決して良いとは言えねーけど、俺は目的を果たすためだけに毎日必死で頑張った。


研修先の電子カルテで菜花の名前を検索してみるけど、当然だけどヒットはしなかった。



菜花に会いたい。


もうガマン出来ねー。


どこにいるんだよ?


……なぁ。


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