だって、キミが好きだから。


「早速なんだが、キミに診て欲しい患者さんを紹介するよ。とは言っても、主治医にはなれないから僕の診察のサポートだけどね」



「は、はい……!よろしくお願いします」



「電子カルテで情報を取るのもいいんだが、僕は会ってもらうのが一番いいと思ってる」



「え?」



成瀬先生の言葉はすごく意外だった。


今までなら、カルテで情報を集めてから実際に患者さんと話していたから。



「カルテを見ると、どうしても先入観に左右されてしまうだろう?そうじゃなくて、ありのままの患者さんを診て欲しいからね」



目を細めてニッと笑った成瀬先生は、とても穏やかで優しい顔付きをしている。


こんな先生、今までで初めてだ。


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