だって、キミが好きだから。
「はい、よろしくお願いします!」
「よし、そうと決まれば早速病室に行こうか」
「はい」
歩き出した成瀬先生のあとを追う。
医局を出てナースステーションの前を通ると、年配から若い看護師がたくさんいてバタバタしていた。
「あ、成瀬先生!おはようございますー!新しい先生ですか?」
若くて元気な看護師が俺に小さく頭を下げた。
マネるように小さくペコリと返す。
「ああ、矢沢君だ。研修医として4週間世話になるよ」
「そうなんですか?よろしくお願いしますー!」
「こちらこそ、お願いします」
再び小さく頭を下げ挨拶を済ませた。
「あとでみんなにも紹介したいんで、診察が終わったらステーションに寄って下さいねっ!あたしは井上(いのうえ)っていいます」
「井上さん、矢沢君が良い男だからって院内でナンパはダメだよ」
「やだ、そんなんじゃないですよ!成瀬先生ったらー!じゃあまたあとで」
井上さんはそう言い残すと、パタパタと慌ただしく行ってしまった。