だって、キミが好きだから。


「今日からキミに診て学んでもらおうと思っている、北上菜花さんだ」



心電図モニターのピコンピコンという音が静寂を破る。


成瀬先生の声がどこか遠くで聞こえたような気がした。



菜花……?


本当に菜花なのか……?


なんで……?


4年間も意識がないなんて……。


7年ぶりに見る菜花は、あの頃よりも大人っぽくなっていて。


栗色のサラサラの髪も、白くてスベスベの肌も何もかもが昔のまま変わっていない。



信じられない気持ちでいっぱいだったけど、何とか平静を装ってその場をやり過ごした。


菜花の身に何が起こったのか知りたい。


やっと見つけたんだ。


……やっと。


やっと会えたんだ。


喜ぶべきだろ?


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