だって、キミが好きだから。
さっさと医局に戻らねーと!
そう思って立ち上がろうとした俺の手を、誰かがギュッと握った。
えっ……?
まさかっ。
引き寄せられるように下を見ると、眠っているさっきまでとは違って目を大きく見開く菜花がいた。
目が合うと、菜花はわけがわからないと言いたげに俺をじっと見つめる。
懐かしいその視線に胸がドキッと高鳴った。
まさか……マジで目を覚ますなんて。
夢でも見てるんじゃねーかな。
「あ、あの……っ、誰、ですか?」
これは……夢じゃねーよな?
目を覚ましたんだよな?
菜花……っ。
「あ、あたし……どうしてここにいるんだろ?何も……覚えてないんです。体も少ししか動かないし……それに」
泣きそうになりながら、菜花は必死に俺の手を握って来る。