だって、キミが好きだから。
お前は知らねーだろ?
今でも俺がどれだけお前を好きか。
覚えとけよ。
この先、たーっぷりわからせてやるから。
もう遠慮はしねー。
約束通り、菜花の左手の薬指は俺がもらう。
誰にも渡さねー。
いや、誰にも渡したくねー。
「なんだか……不思議です。初めて会ったのに……懐かしく感じるなんて。あなたを見てると……胸がすごく締め付けられます。どうしてかな」
「そりゃ、お前アレだろ」
「ア、アレ……って、なんですか?」
だからやめろって。
んな目でじっと見て来るんじゃねーよ。
こいつだけはマジで、昔から何も変わってねーな。
けどさ、俺はやっぱりそんなお前が好きだ。
もう離さねー。
「俺のことが好きだからだろ?」
そう言って、俺は菜花の右手の甲にキスをした。
【fin】