だって、キミが好きだから。


もし。


あの日の告白がなかったら、琉衣の言葉を軽く聞き流せたのに。


今では色んな意味を持って聞こえてしまうから、ついつい深く考えちゃう。



「急に静かになるなよ。気まずいだろ」



「え?あ、ごめん」



「冷める前に飲もうぜ」



「う、うん」



琉衣はカフェオレの入ったコップを口に運ぶ。


それを見て、あたしもコーンスープを飲んだ。


しばらく無言で飲み続け、気付けば窓の外の景色が暗くなっていた。



「そろそろ帰るか」



「そうだね」



2人で病院を出ると、すでにバスが停まっていた。



「今日はありがとう。また来てくれたらみんなも喜ぶと思うから、良かったら来てね」



2週間に1回のペースで通っているということは、さっき話した。


次は2週間後。


また琉衣が来てくれたらいいなって密かに思った。


“みんな”じゃなくて“あたし”が思った。



「ま、気が向いたらな。気を付けて帰れよ」



「うん、ありがとう。バイバイ」



「じゃあな」



ニッコリ笑って手を振ると、琉衣も同じように返してくれた。


< 53 / 343 >

この作品をシェア

pagetop