だって、キミが好きだから。
お茶を飲んで何とか落ち着いた。
ふー。
「ねぇ。ヒマなら、あのコたちの散歩お願い出来る?」
食器を片付けながら、お袋が俺の顔を覗き込む。
はぁ?
散歩かよ。
面倒くせーけど、ここで嫌だとか言ってもグチグチ言われるだけ。
「別にいいけど」
リビングのソファーでくつろぐ3匹のフレンチブルドッグ。
名前は単純にハレ、アメ、ユキ。
お袋が決めた何とも適当な名前。
3匹ともオスで、俺が小5の時に家にやって来た家族の一員だ。
お袋は専業主婦でオヤジが獣医。
22歳の看護師の姉ちゃんと、高校生の俺の至って平凡な7人家族。
「それと。その明るい髪の毛も、いい加減どうにかしなさいよ」
「それはムリ」
「あんたね!呼び出されるのは、こっちなんだから」
「素行は良いから大丈夫だろ」
「そういう問題じゃないでしょ!あんたの場合は中身に問題大アリなのよ!」
ガミガミ言い出したらうるさいから、立ち上がってソファーに向かった。