だって、キミが好きだから。


次の日。


宣言通り、朔真が家に来た。


しかも朝から。


こいつとは小学校からの仲で家もかなり近い。


お袋とも仲が良いから、勝手に家に上げやがる。


お袋の勝手な振る舞いや、こいつの自由奔放さにはもう慣れたからいいんだけどな。



それよりも昨日は、ひとりでモンモンと考え込んでたらあんま寝れなかった。



「北上さんのことで寝れなかったっつーわけか。お前がねー」



ぶっ、くくっと朔真が噴き出している。



「うっせえ。仕方ねーだろ!」



んなこと、初めてなんだから。


昨日のことをこいつに話した俺も俺だけど、それを笑うこいつもどうかと思う。



「いやー、あの琉衣斗がなー。女のことで寝れねーなんて。明日雪でも降るんじゃね?あ、昨日降ってたな!くっくっ」



「笑うなっつーの」



「いやいや、嬉しいんだよ俺は。お前も人の子だってわかって」



「はぁ?何言ってんだ、お前」



「お前も、ついに本気の恋に目覚めたんだな」



なんだよ、本気の恋って。


俺が菜花に?


ありえねーだろ。



「わかってねーみたいだから、明日わからせてやるよ」



朔真は何かを企んでいそうな笑顔でニヤッと笑う。


嫌な予感しかしねーんだけど。



「遠慮しとく」



「いや、お前はわかんなきゃダメだ」



「?」



「今まで散々遊んで来たんだから、人の気持ちを思い知れ」



なんだよ、それ。


わけわかんねー。


つーか、今でも遊びまくってるお前にだけは言われたくねーよ。


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