だって、キミが好きだから。


他に……好きな男でもいんのかよ?


大人しい菜花が今日カラオケに来るのだって、俺らの中に好きな奴がいるから、とか?


……なんかそれってすっげームカつく。



モンモンとした気持ちのまま迎えた放課後。


メンバーはどうやら俺ら4人と、菜花のクラスの女子4人らしい。



女子たちは少し遅れて来るらしく、俺らは4人で先に待ち合わせのカラオケへ行った。



「俺、萌奈ちゃん狙いだから手ぇ出すなよ!」



朔真がみんなに睨みをきかせる。



「はぁ?ズルいぞ、お前だけ」



「この前の女はどうしたんだよ」



「香水の匂いがキツいから嫌になって振った」



ああ。


この前の女って、あいつのことか。


確かに……あの香水の匂いは強烈だった。



「で、お前は誰狙いなわけ?」



朔真がニヤニヤしながら俺を見て言う。


こいつ。


わかってるくせに。



「そうだそうだ。お前は誰狙いなんだよ?」



「琉衣斗の口から聞いとかねーとな」



ちっ。


こいつら。


わかってるくせに。


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