だって、キミが好きだから。
「誰でもねーよ!」
菜花の顔が真っ先に頭に浮かんだけど、からかわれたのがしゃくに触ってついツンケンしてしまう。
「マジで?なら俺、北上さん狙いで行くから手ぇ出すなよ」
「小動物みたいなあの可愛さは反則だよなー。油断してると、俺もうっかり惚れちゃうかも」
こいつらが菜花のことを褒める度に、ふつふつとした苛立ちが胸の奥から込み上げる。
なんなんだよ。
今まで誰も見向きもしなかったくせに。
今さらなんなんだよ。
マジでイラつく。
「勝手にしろよ」
俺には関係ねーんだから。
そう……関係ねー。
イライラしてんのは、こいつらのバカにしたような態度に対してだ。
「琉衣斗、邪魔すんなよ?」
「……しねーよ!」
気に食わなかったけど、強がってそんなことしか言えなかった。