だって、キミが好きだから。


それぞれ自己紹介が終わり、のんびりダラダラ過ごすこと30分。


誰も歌おうとせずに、ひたすら話し込んでいる。


ワイワイガヤガヤうるさい。



「へえ。なのちゃんって姉貴がいるんだ?」



「うん。アオ君は?」



「俺?俺はひとりっ子」



「へえ、そうなんだ」



アオがやたらと菜花に近付きながら楽しそうに話している。


時々肩を叩いたり、何気なく腕に触ったり。


見てるとイライラしてどうしようもない。



顔近付けすぎなんだよ。


もうちょっと離れろっつーの!


それに……触ってんじゃねーよ。


菜花も、何普通に話してんだよ!


アオに笑いかけてんじゃねーよ!


くそっ。


イラつく。


つーか……俺の相手もしろよ。


お前はアオが好きなのかよ?



「なのちゃんの横からビシビシ視線感じんだけど。そんなに睨むなよ」



俺を見てアオがクスクス笑う。



「え?し、視線?」



つられるように、菜花も俺の方を向いた。


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