だって、キミが好きだから。
綺麗な瞳にまっすぐに見上げられ、ドクンと胸が鳴る。
ブレザーの肩の部分から、栗色のサラサラの髪が流れ落ちた。
シャンプーの香りなのか甘い匂いが鼻先をかすめる。
やめろよ、マジで。
そんな目で見んなって。
あー、もう!
くそっ。
さっきまでイラついてたくせに、なんでこんなにドキドキすんだよ!
「……琉衣?どうしたの?」
不安気に揺れる菜花の瞳。
俺の様子がおかしいことに気付いているんだろう。
俺だって自分で自分のことを変だと思ってんだ。
「別に……何もねーよ」
「で、でも。怒ってる?」
「怒ってねー」
イラついてるけどな。
って、一緒か。
あー、くっそ。
自分で自分が良くわかんねー。
アオが好きなのかって考え出したらそうとしか思えなくなって、ついつい菜花に当たってしまった。