だって、キミが好きだから。
そのまま力任せに菜花を引き離す。
アオを睨み付けると、目を見開いてビックリしていた。
「おい、何ムキになってんだよ?冗談だろ、本気にすんなよ」
「うっせえ、黙れ」
マジでイラついてんだよ。
気安く菜花に触りやがって。
「おいおい、怒るなって。空気読めよー!」
今度は朔真がニヤニヤしながら俺を見る。
騒がしかった室内は静まり返り、気付けばみんなからの視線を一斉に浴びていた。
けど、そんなことはどうでもいい。
「こいつがわりーんだろ?ベタベタ触りやがって」
俺は再びアオを睨み付けてやった。
「俺、ちゃんと言ったよな?なのちゃん狙いで行くって。反論しなかったのはお前だろ?」
「うっせえ、こいつに手ぇ出すな。お前が気安く触っていい女じゃねーんだよ!ほら、行くぞ」
「え?ちょ……」
これ以上、菜花とアオを同じ空間にいさせたくねー。
他の男と仲良くしてる姿を見たくねー。
そんな独占欲から、気付くと俺は菜花の腕を引いてカラオケをあとにしていた。